会長 花輪 公雄
4月14日(木)開催の相談会の議論に基づいた海洋汚染に関する多くの提言,とりわけ福島第一原子力発電所の事故による放射性物質で汚染された水の海洋流出に関する件に関しては,大変重く受け止めております.本学会幹事会は,提言の内容を実現できるよう,最大限努力する所存です.
以下,この場をお借りして学会幹事会を中心としたこの間の動きについて概要をお知らせいたします.
4月14日の相談会には幹事会メンバーも参加しており,翌15日に開催された幹事会で会の報告がなされました.その後,学会は震災にどう対応すべきかの議論を行い,「震災対応ワーキンググループ(WG)」の設置を行うこととしました.このWGでは,学会の英知を集め,とりわけ放射性物質で汚染された水の海洋での挙動の実態を明らかにすること,モデリングにより分布の状態を再現し将来予測をすること,情報を分かりやすく社会へ伝達すること,などの項目について提言や企画調整作業をすることとしました.また,WGのメンバーシップは,当面幹事会全員と相談会に参加された会員,そして本件に関し積極的に貢献してくれる会員・非会員の中から選ぶこととしました.そして,4月22日には第1回WGが開催され,幾つかのサブグループを作り,早速活動に移しております.
放射性物質を含む水の海洋での分布を知ることはもっとも重要なことです.そのため,放射性物質の移流・拡散過程をとらえる必要があります.また,これらは正確なモデリングを行うためにも必須です.このような観点から,現在のモニタリングで十分かどうか,不十分ならどのようなものが望ましいのか,現在サブグループ内で活発な議論が行われていることを紹介しておきます.なお,この提言は,間もなく公表される予定です.
既に学会長名で声明を出しておりますように,私たちは学会総力を挙げてこの難局に対応するつもりです.学会員の皆さま方のご理解とご協力を頂ければ幸いです.