国際海洋リテラシー調査第4版の実施について(依頼)

会員の皆様

本学会では、海洋に関連する30の学協会・委員会と共同で、「小学校理科第4学年単元『海のやくわり』新設の提案」を2016年4月に文部科学省に提出して以来、その実現に向けて、様々な活動をして参りましたが、このたび、米国カリフォルニア大学バークレー校ローレンス科学教育館副所長のCraig Strang氏より、高校生(15~17歳)を対象とした国際海洋リテラシー調査第4版の日本国内での実施について協力依頼がありました。

この依頼を受け、海洋学会幹事会でもいろいろと検討しましたが、本調査を実施することによって、(1) 我が国における海洋リテラシー普及活動の進行状況が国際的な観点から把握できること、(2) 設問への解答を通じて海洋に関心をもつ高校生の増加につながる可能性のあること、などから、本学会では、この国際海洋リテラシー調査第4版の我が国における実施を積極的に支援することといたしました。

つきましては、以下の資料をご参照の上、3月22日までに全国のできる限り多くの高校生にhttps://tinyurl.com/IOLS-japanese へのアクセスを通じて本リテラシー調査に参加してもらえるよう周知することについて、ご協力を宜しくお願い申し上げます。

2019年1月29日
日本海洋学会
会長 日比谷 紀之

資料1

1.国際海洋リテラシー調査とは

国際海洋リテラシー調査(The International Ocean Literacy Survey; IOLS)とは、言語、文化、国が異なる様々なコミュニティに属する15〜17歳の人たちが持っている海に関する基本知識を、共通の設問への解答状況によって測定し、各コミュニティの各々の結果の時間変化や全体との比較を把握することで、各国で海洋リテラシー普及活動を進めている様々なグループの活動を支援することを目的として開発中のツールです。

2.経緯

2016年6月の最初の試験調査以来、これまで、試験的な調査が3回、実施されてきました。設問は、the U.S. National Marine Educators Association他が2005年にまとめた「海についての7つの基本原理(海洋リテラシー、資料2を参照)」をもとに、作成されています。これまでの経緯と第2回試験調査の解析結果は、

Fauville, G., C. Strang, M. A. Cannady, and Y.-F. Chen (2018): Development of the International Ocean Literacy Survey: measuring knowledge across the world. Environmental Education Research, https://doi.org/10.1080/13504622.2018.1440381.

で、詳細に紹介されています。

3.国際海洋リテラシー調査第4版について

4回目の試験調査である国際海洋リテラシー調査第4版(IOLS ver.4)は、四者択一問題41問と二者択一問題47問の合計88問で構成されています。これらの問題は、国際海洋リテラシー調査第2版と第3版の試験調査の結果を参考に、各国の教育関係者、科学コミュニケータ、海洋学者、計量心理学者で構成されるIOLS助言委員会の査読を受けて作成されました。

国際海洋リテラシー調査第4版は12種の言語に翻訳され、世界各国が参加して行われます。日本語版には、PCまたはスマートフォンから、以下のURLにアクセスし、解答を選択することで参加できます。所要時間は約30分です。
https://tinyurl.com/IOLS-japanese

統計処理のため、国名、居住市町村名、学校名、年齢の記入は必須ですが、その後に提示される各質問への解答については、答えたくない質問には解答しないことも可能です。参加者個人の結果が学校に通知されることはありません。

2019年3月22日までの集計結果を解析し、IOLS Ver.4の各設問の見直しを進めます。日本からの参加者のデータは日本の関係者にも提供されます。

詳細は、以下の海洋リテラシー普及活動関係者向け資料(英語、PDF、77 KB)をご覧ください。
https://www.geraldinefauville.com/s/IOLS-Invitation-V4.pdf

また、IOLSを支援する「NPO法人 海の自然史研究所」の以下のサイトもご覧ください (2月5日追記)。
http://blog.canpan.info/marinelearning/archive/367

国際海洋リテラシー調査第4版の開発は、the Lawrence Hall of Science at the University of California Berkeley が行ってきましたが、以下の11の機関・団体がその実施を支援しています。

Partnership for Observation of the Global Ocean
Asia Marine Educators Association
National Marine Educators Association (USA)
Canadaian Network for Ocean Education (Canada)
Marine Conservation Society (UK)
Oceanographic Society of Japan (日本海洋学会)
National Taiwan Ocean University (Taiwan)
Pontificia Universidad Catolica de Chile Centro de Conservación Marina (Chile)
Marine Learning Center (NPO法人 海の自然史研究所)
Surfline
The Hydrous

資料2

「海についての7つの基本原理(海洋リテラシー)」
1. 地球には、様々な特徴を持つひとつの大きな海洋がある。
2. 海洋と、海洋中の生命が、地球の特徴を形作る 。
3. 海洋は天候や気候に大きな影響を与えている。
4. 海洋によって、地球は生物が生息できる場所になっている
5. 海洋は生命と生態系の大きな多様性を支えている。
6. 海洋と人間は、互いに分かちがたい関係にある。
7. 海洋の大部分は、今もなお探究されていない。

詳細は、IOLSを支援する「NPO法人 海の自然史研究所」の以下のサイトをご参照ください。
http://www.marinelearning.org/network.html

問い合わせ先

国際海洋リテラシー調査担当幹事 市川 洋(hiroichi@f7.dion.ne.jp)