東京大学大気海洋研究所による大槌湾の物理化学環境およびプランクトン調査に関して

大槌湾の物理化学環境およびプランクトン調査(速報)


日本海洋学会東日本大震災対応WG

生態系SWG

東京大学大気海洋研究所は、岩手県の大槌湾において震災後初めての沿岸海域の物理化学環境およびプランクトン調査(5月26日~27日)を実施し、その調査速報を同所のウェブサイトにて公開しました。全国の研究者の共同利用施設である同研究所国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波により、三階建ての実験棟の三階まで浸水し、4隻あった観測用の船舶は全て使用不能となるなど、大きな被害を受けたとのことです(センターの被災状況については大気海洋研究所ウェブサイトにて公開されています)。しかし1973年の開設以来、40年近くにわたり大槌湾の調査・観測データを蓄積してきた研究センターでは、施設等の復旧の最中ながら、現地の住民の方々のご協力のもと、いち早く今回の調査を実施されました。公表された調査速報に記されていますように、大槌湾では海岸・海底地形の著しい変貌が認められ、さらに流出物などによる海洋生態系への影響も懸念されています。津波の影響が著しい東北から北関東にかけては、未だ調査が及んでいない海域が少なくありませんが、同様の被害・影響が広範囲で生じていると推測されます。大槌湾の中長期的な調査は引き続き大気海洋研究所によって実施されるとのことですが、生態系SWGでは、他海域も含めた各機関の調査の連携や観測情報の共有についての調整等を進め、東北地方の豊かな生態系や水産資源に対する津波被害の実態把握と、それらの回復・再生プロセスの解明に貢献すべく努めてゆく所存です。


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