水標準物質開発25周年記念シンポジウム開催概要

共催:国立研究開発法人海洋研究開発機構 産業技術総合研究所 計量標準総合センター(申請中) 
   株式会社環境総合テクノス

後援:日本海洋学会

開催日:平成30年11月9日(金) 10:00-18:15

場 所:JAMSTEC東京事務所(東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル23階)

参加費:無料

問合先:国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境観測研究開発センター内 
    海水標準物質開発25周年記念シンポジウム事務局
    〒237-0061神奈川県横須賀市夏島町2-15 
    電話:046-867-9503
    E-mail:murataa@jamstec.go.jp

テーマ:日本発の海洋環境標準物質の世界展開を目指して-栄養塩CRMをはじめとして-

概要:栄養塩(硝酸塩、亜硝酸塩、りん酸塩、ケイ酸塩)は、水温、塩分と同様に主要な海洋観測項目となっており、19世紀末の海洋学の黎明期の頃から測定が行われている。このことは、栄養塩の測定には100年以上の歴史があり、地球全体の環境変動に大きな影響を与えている海洋の環境変動を捉えるのにも十分なデータ量の蓄積があることを示している。また、初期の海洋大循環像は、空間方向の濃度変動が大きいりん酸塩の全球での分布から導き出されている。しかし、同じ海域での栄養塩データに基づいた長期変動の解析は皆無に近い。このことは、濃度の変動が小さい同じ海域では、測定の時期や測定者が異なった場合、データの比較可能性を保証する標準物質が無かったことに起因していた。現在、日本発(初)の海洋環境標準物質である栄養塩CRMが世界の海洋コミュニティーに普及しつつある。栄養塩CRMに基づいた測定値から海洋環境の長期変動が明らかにされる日も近いと思われる。また、物理的観測では明らかにすることが難しい太平洋の中深層循環像を描くことも、比較可能性が確保された栄養塩データなら描くことができる可能性がある。今日のこの状況は過去25年に亘る日本国内を中心とした開発、国家認証、国際的な普及活動実施と様々な方々の努力の成果であり、将来に亘って海洋環境のより確かな実態を把握するためには、現在の状況を継続発展させることが肝要である。今回のシンポジウムは、栄養塩CRMの開発25周年の機会に、日本発の海洋環境標準物質の継続発展さらには世界に発信していくために、国内外の状況の確認と課題を把握し解決の方向を議論するために開催するものである。

プログラム

(○:発表者)

1.開催挨拶

10:00-10:15 開会の辞
河野 健(海洋研究開発機構 研究担当理事補佐)
日置昭治(産業技術総合研究所 招聘研究員)
石田和憲(環境総合テクノス 東京支店長)

10:15-10:20 事務連絡他
村田昌彦(海洋研究開発機構)

2.栄養塩CRMの現状 (座長 村田昌彦)

10:20-11:10 栄養塩CRM開発の科学的背景と最近の国際共同実験結果
青山道夫(海洋研究開発機構/福島大学/IOCCP SSG/SCOR WG47 co-chair)

11:10-11:40 NMIJにおける栄養塩分析用海水CRMの開発
○チョン千香子・三浦 勉(産業技術総合研究所)

11:40-12:10 栄養塩測定用海水標準物質(RMNS)その製造・認証方法および領布の進展について 
北尾 隆(環境総合テクノス)

※昼休み

13:10-13:40 SCOR-JAMSTEC国際共同による原料海水採取と配布 
村田昌彦(海洋研究開発機構)

3.栄養塩CRMを使った測定 (座長 青山道夫)

13:40-14:10 低濃度栄養塩測定用オートアナライザーを用いたCRMの測定
西村 崇(BLテック)

14:10-14:40 栄養塩CRMを使った時系列観測によって見えてきたもの
○笹野大輔・中野俊也・永井直樹(気象庁)、青山道夫(海洋研究開発機構/福島大/IOCCP SSG/SCOR WG47 co-chair)

※休 憩

14:55-15:25 水産海洋研究における栄養塩標準の活用例:日本近海域の栄養塩動態解明への取り組み
児玉武稔(水産研究・教育機構)

15:25-15:55 CRMを用いた高精度観測
○横川真一朗・有井康博・曽根知実(株式会社マリン・ワーク・ジャパン)、鎌田 稔(海洋研究開発機構)、石川賀子(前株式会社マリン・ワーク・ジャパン)、村田昌彦(海洋研究開発機構)、青山道夫(海洋研究開発機構/福島大学/IOCCP SSG/SCOR WG47 co-chair)

4.将来、必要となるCRM (座長 三浦 勉)

15:55-16:25 栄養塩測定用海水標準物質を溶存態有機物(炭素,窒素,リン)測定用に拡張する試み
芳村 毅(北大院水産)

16:25-16:55 マルチパラメータ標準海水開発の状況
内田 裕(海洋研究開発機構)

16:55-17:25 炭酸系測定のためのCRM
村田昌彦(海洋研究開発機構)

5.総合討論 (進行係 村田、青山)

18:15 終 了