2005.8.1

ご挨拶が遅れましたが,引き続き2005〜2006年度も会長を務めることになりました。同じく二期目となる植松光夫副会長と13人の幹事で執行部を構成し,学会活動を進めてまいります。ご協力のほど,よろしくお願いします。前期の2003〜2004年度には,(財)日本学会事務センターの破産など,予想もしなかったことが発生して大変な年でしたが,なんとか乗り切ることができました。これからも学会のさらなる発展を目指して努力したいと思います。以下に,最近の動きや活動の一部を紹介します。

1)まずビッグニュースです。学会が編集しテラ学術図書出版が発行しているJournal of Oceanography(JO)は,2002年から世界最大の学術情報会社Thomson(ISI)の調査対象雑誌になっていますが,今年6月に初めてインパクトファクター(掲載論文の平均的な被引用頻度)が付きました。
2004年の値は1.7弱でした。これは,同社の調査対象となっている,海洋分野の雑誌(41誌)のトップ10に,日本で発行されている全分野の雑誌(160誌)のトップ20に,一気に躍り出るという快挙です。この健闘に,会員の皆さんとともに拍手を送りたいと思います。
詳細は,JO編集委員長の報告(学会HPや「海の研究」14巻5号)をご覧下さい。今後も引き続きJOが高いレベルの国際学術雑誌として評価され続けるように,皆さんのお引き立てをお願いします。また,学会機関誌「海の研究」も,優れた和文論文を掲載するほか,海洋学界の情報交換のメディアとして,今後も発展させていきたいと思います。
なお,雑誌の発行に関しては,最近の世界的な電子ジャーナル化の展開を受けて,JOについても早急な対応を迫られています。現在の全会員に冊子体を配布する方式を改めて,個々の会員が,冊子体の購入や電子ジャーナルの購読を選択できるようにする方向で検討を始めました。

2)つぎに,学会が事務の一部を委託していた(財)日本学会事務センターが2004年8月に破産しました。それまでの会員情報などは回収できましたが,2004年度分として納入されていた会費分から破産までの支出を差し引いた約500万円は,学会の損金となりました。
そこで,まず,新たな業務委託先として,(株)毎日ビジネスサポートを選びました。2005年度からは,中野にあったこれまでの学会事務局を毎日ビジネスサポートの「毎日学会フォーラム」に移し,会員・庶務・会計業務のすべての学会事務を委託しました。
つぎに,財政についてですが,実は,2003年度に明らかになった学会の赤字体質を改善するために,幹事会の中に「財政再建タスクチーム」を設けて検討していた矢先にこの事件が起こりました。雑誌の編集費や発行経費を大幅に節減しましたが,前年度に続いて2004年度も学会積立金・基本金からの繰入を余儀なくされました。そこで,赤字体質からの脱却と,一時的に繰り入れた学会基本金の返済のために,2005年度からの会費値上げを認めていただきました。その際,外国会員の種別を廃止するとともに,新たにシニア割引を導入しました。

3)第23回IUGG(国際測地学・地球物理学連合)総会が,2003年6?7月に札幌で開催されました。海洋学会は,日本学術会議とともに主催団体の一つとして,この集会の開催・運営にあたりました。多くの会員が組織委員会の役員やIAPSO(国際海洋物理科学協会)などのシンポジウムのコンビーナーとして活躍しました。
また,2003年度に教育問題研究部会を設置して,海洋の教育のあり方の検討と,海洋に関する知識の普及を図る活動を始めました。小・中学校や高校の教科書の内容の改善を図るとともに,教科書以外での教育や普及・啓蒙活動の方策を探っています。その一環として,2005年3月に,かわいい単行本「海のトリビア」を発行しました。

4)学生会員や若年会員を励ますために奨励論文賞を創設し,2005年度の春季大会で2名の会員に初めて授与しました。直近の2年間にJOか「海の研究」に掲載された優秀な論文の著者で,投稿時に学生会員か28歳未満であった会員が対象になります。この賞は特定非営利活動法人「海ロマン21」に支援していただいています。
学会への支援としては,そのほか,海洋未来技術研究会から,若手研究者への海外渡航,発展途上国へのJOの寄贈,および日本海洋学会宇田賞に対して,また(財)日本海洋科学振興財団からは日高論文賞に対して,支援をいただいています。今後も継続をお願いします。

5)さて,最後に残念なニュースですが,2004年度中に5名の名誉会員がお亡くなりになりました。4月に宮崎正衛先生,6月に梶浦欣二郎先生,7月に大和田守先生,12月に福岡二郎先生,そして年度末の3月に中野猿人先生です。あいついで,これほど多くの名誉会員を失うのは痛恨の極みです。生前の学会への多大なご貢献に感謝いたしますとともに,謹んでご冥福をお祈りいたします。

今期は,幹事13名を含む以下のメンバーで執行部を形成し活動を開始しました。学会のさらなる発展を目指して,会員の皆さんとともに努力する所存ですので,ご支援とご協力をお願いします。

会 長:    今脇資郎
副会長:    植松光夫
監 査:    寺崎 誠,岩宮 浩
庶 務:    神田穣太,津田 敦,小川浩史
会 計:    木村伸吾,岩坂直人
集 会:    藤尾伸三,高槻 靖
研究発表:   天川裕史,滝沢隆俊
選 挙:    高槻 靖,日比谷紀之
広 報:    豊川雅哉,藤尾伸三
JO編集:    花輪公雄
「海の研究」編集:  關 文威
教育問題研究部会・地学教育関連学会協議会担当: 天川裕史
海洋環境問題委員会担当:            小川浩史
海洋未来技術研究会・日本海洋科学振興財団担当: 植松光夫,日比谷紀之
日本地球惑星科学連合担当:           岩坂直人,藤尾伸三
水産学教育推進委員会担当:           神田穣太

2005年8月1日
日本海洋学会会長
今脇資郎(九大応力研)