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私たちは海全体の5%しか調査できていないんだ |
新しい技術によって、私たちが海を探求する能力は向上していますが、海の95%は、今でも、人間にとって未知の世界です。深海には、まだ知られていない数多くの生物がいます。 |
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世界の人口の大半が沿岸域で生活しているんだ |
世界人口の60%にあたる40億人以上が、沿岸から100㎞以内の地域に生活しています。沿岸域は便利な生活をできますが、津波や高潮などの影響を受けやすい地域でもあります。 |
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川は海に栄養分を運ぶけど、汚染物質やゴミも世界の海に流れ出てしまうよ |
人間社会がつくりだす汚染物質、汚水、油、 生活ゴミ、産業廃棄物などは、川を介して海に流れ込みます。そこから海流に乗って世界中の海に広がり、水質を悪化させ、海の生態系に大きな影響を与えます。 |
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波によって陸地は削られているんだ(浸食) |
川の流れと同じように、海の波も土地を削ります。長い歴史を考えると海水面は上下し、波で削られてできた海岸段丘や海食台のような平らな土地があります。地球温暖化の影響による海面上昇で波の土地を削る働きが大きくなると、人が利用できる低地(平野)が減少する可能性があります。 |
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海には地球上最小のウイルスから、地球上最大の動物まで生息しているよ |
海の中には、人間の肉眼ではよく見えない体長数μmのバクテリアから、34mにも達する世界最大の哺乳類シロナガスクジラまでのさまざまな大きさの生き物がすんでいます。バクテリアとクジラを比べると体長1000万倍以上あります。全36動物門のうち34は海に生息する種を含み、うち16は海に特有であると言われています。海の生物の形態の変化は、陸よりも大きいと言えます。 |
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海では水が蒸発して台風などができるよ |
台風のエネルギーの源は熱帯の暖かい海から蒸発した水蒸気です。水蒸気が上昇して上空で冷やされて雨粒や氷になるときに熱が放出されます。この熱を吸収してさらに軽くなった空気は強い上昇気流を作り、周りから空気を吸い込みます。この空気の流れが台風を発達させます。 |
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深海にもいろんな生物がいるよ |
水深200mより深い海は、真っ暗で餌が少ないのですが、たくさんの生物がいます。熱 水噴出孔には、ハオリムシやユノハナガニが集まっています。アンコウやホタルイカ、エソ類のように発光器を持つ生物は深海の生物として、よく知られています。深海生物から、私たちの薬になる物質や、生活を豊かにする物質も見つかっています。 |
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船が、日本の輸出入品のほぼすべてを運んでいるよ |
日本は、「衣食住」のもととなる原材料 のほとんどを海外から輸入しています。たとえば、鉄鉱石、石炭、原油、綿花は100%、大豆は93%、木材は69%が輸入です。これら の原材料と、それから作られた製品の99.6%を、船が運ん でいます。それによって、私たちは豊かに暮らすことができるのです。 |
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風が海の流れや波を起こすよ |
海の上に吹く風は海水運動の原動力です。風によって海面に生じる波は、風が吹く所で発生し波の形が尖った“風波”と、遠くで発生して伝わってくる形が丸みを帯びた“うねり”に分けられます。また、海上の風は海面を通して海水に運動エネルギーを与えて海流を駆動します。黒潮や親潮などの海流が運ぶ流量も海上の風の強さに支配されています。 |
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海は、熱・水・炭素を出し入れして気候をコントロールしているよ |
大気中の水蒸気や二酸化炭素は温室効果ガスと呼ばれ、地球表面から放出される熱を吸収し、地表に戻すことで地球表面の温度を維持しています。海は日射による熱エネルギーを受け取ると同時に、海面からの蒸発で熱と水蒸気を放出しています。また大気と海洋の間では、二酸化炭素の交換が行われています。こうした海面からの熱・水・炭素の放出量が、地球全体の温度を維持し、気候をコントロールしています。 |
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地球上の水の97% は海にあるよ |
海の面積は約3億6106万㎢で、地球の表面積の約70.8%を覆っています。海水の総量はなんと約13.51億万km³です。これは琵琶湖の水の4900万倍にもなります。海で蒸発した水が陸上に戻る仕組みが私たちの生活を支えています。 |
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地球上の光合成の半分は海の植物プランクトンがおこなっているんだ |
海に出現した植物プランクトンは、35億年前に光合成を開始し、少しずつ大気に酸素を放出し、長い時間をかけてオゾン層と作り、4億年前頃に陸上で生物が生息できるようになりました。今でも、地球上の光合成の約半分は、植物プランクトンがおこない、人間が大気に放出した二酸化炭素の約3分の1を吸収しています。 |
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太陽や月の引力で 潮汐が起こるよ |
海面の高さは、太陽と月の引力が海の水を引き上げるために、ゆっくりと規則正しく上下します。1日2回の満潮と干潮に応じて、潮流の向きも変わります。ひと月の間で満潮と干潮の時の海面の高さの差(潮位差)が最も大きい大潮は、太陽と月の引力の影響が重なる満月と新月の頃に起こります。潮干狩りは、 潮位差が1年の中で最も大きい「春の大潮」前後が最適です。 |
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地球には様々な海があるよ |
強い日差しを受ける熱帯の海、氷におおわれた北極や南極の 海、太陽の光を受けて植物プランクトンが繁殖する表層の海、冷たく暗く圧力も高いが変動の少ない深層の海など、地球には様々な海があり、様々な生き物が生きていくことができます。これらの海は海洋大循環によって、1つにつながっています。人間が海に流したものは、近くの海だけでなく遠くの海へと運ばれます。近年では、人々が捨てたプラスチックのゴミが、細かく砕かれながらマイクロプラスチックとなって、南極や深海も含む世界中の海に広がっていることが問題となっています。 |
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地球上の最初の生命は海洋で始まったと考えられているんだ |
40億年前の地球の海で、生命は誕生しました。原始海洋は今より高温でしたが、海水の組成は今とほぼ同じでした。この原始海洋のどこかで、何らかの原因でエネルギーが発生し、水を触媒として、海水の成分に化学反応が起き、生命の素となるアミノ酸や核酸、糖、脂肪がつくられたと考えられています。最近では、海底の熱水噴出孔が、原始海洋での生命誕生の場の有力候補と考えられています。 |
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大きな海の西側には黒潮のような強い流れができるよ |
世界の主な大洋(太平洋・大西洋・インド洋)には、 風によってできた時計回り・反時計回りの流れ(風成循環)があります。 それぞれの循環の西端には、特に強い海流が流れています。 例えば、太平洋の西端にある日本の南岸には、世界でも最大級の海流である黒潮が流れています。黒潮が運ぶ南からの暖か い海水が、世界最北のサンゴ礁を日本近海に作りました |
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海底はゆっくり動き、さまざまな地形を作るよ |
海底には陸上と同じように山や谷などの様々な地形が存在しています。大洋の中央部にある中央海嶺で新しい海底(プレート)が誕生し、1年に数cm程度のゆっくりとした速さで動きます。プレート同士が衝突して深い海溝ができたり山が造られたりします。 |
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海は食料や鉱物、エネルギーなどを人間に与えているんだ |
海洋から私たちは様々な水産物をとって生活しています。また、海底からマンガンなどの鉱物を採取したり、海底油田など化石エネルギーを採掘しています。最近は潮流、潮汐、波浪、海上風などによる自然エネルギーの恩恵も海から受けています。 |
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赤道域から極域に熱を運ぶ海流がなかったら、地上は大嵐になるよ |
熱帯は暑くて北極・南極は寒い。これは熱帯では極域よりも多くの太陽の熱を受けているからです。この熱帯で受けた多くの熱が海流によって極域に運ばれています。つまり、もし海流がなければ、今以上に熱帯は暑くなり極域は寒くなります。そして、その大きな温度差は強い風を生み出し、地上は嵐になります。 |
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海はたくさんの熱を蓄えるよ |
海は、大気に比べて1000倍もの熱エネルギーを蓄えています。海があるから、気候が安定し、人間が暮らせるのです。 |
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地球をめぐる深層大循環があるよ |
深さが数千m以上の深層の海水は、南極大陸付近と北大西洋北端のグリーンランド沖の海面が冷やされてできる重い海水が深層まで沈みこんだ海水です。この2つの海の深層の海水は、世界の他の海の深層に広がり、表層まで上昇し、表層の流れに運ばれて、元の2つの海の表層に、1000 ~ 2000 年かけて戻ります 。この海洋大循環は地球規模の気候変動にも関係して います。 |