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(前回記事:種々の疑問に関する専門家の意見

ある部分は福島原発事故から間もない時点での推測も含んでおり、また現時点での関心事は、海底堆積物へのセシウム蓄積と底魚の汚染です。

そこで、項目4(海底堆積物)と5(水産物)に関して、以下の公開質問を用意しました。

重要な問題でありながら、専門家の統一見解は簡単に出ないようです。

学会発表などで発表されるのに加えて、皆様が持っていらっしゃる見解を聞かせてください。

池田会員(mikeda(at mark)ees.hokudai.ac.jp)にメイルを送ってくだされば、

1ヶ月程度をめどに取りまとめ、あるいはさらに深化させることを試みます。

公開するに際しては、ご意見をくださった方たちに相談いたします。

<公開質問: 池田会員>(2012年10月15日)

海水における放射性元素の濃度は、昨年の夏以降低下していますが、海底堆積物への蓄積はそれと入れ替わりに増加し、現在も依然として高い濃度を保っています。特に宮城から茨城にかけて、200メートル以浅の海底に高濃度の箇所があります。100Bq/kg以上に増えたセシウム137が、下記の(1)~(5)のいずれのプロセスによるならば矛盾がないか、何人かの専門家にご意見を伺ってきたところですが、まだ統一見解は得られていません。

(1)4-6月、植物プランクトンに吸着し、沈降・堆積した
(2)4-6月、動物プランクトンの糞が浮遊沈降している懸濁粒子となり、それに吸着し堆積した
(3)4-6月、震災に伴う海水中の土砂に吸着し、沈降・堆積した
(4)4-6月、表層近くの高濃度汚染水が風などによって海底まで送られ、堆積物に直接吸着した
(5)河川あるいは陸面で放射性元素が土砂に吸着し、7-10月、河川水とともに海洋に流れ込んだ

ある程度、定量的な推定値を提供してくださると幸いです。それぞれのプロセスの時間スケールにも言及してください。全体でなく一部のプロセスに関する推定でも結構です。

<公開質問: 池田会員>(2012年10月15日)

海産物への影響については、2012年 秋までの状況を踏まえると、海底堆積物にセシウムが蓄積している状態では底魚がもっとも注意を要すること、また淡水魚は陸域に降下したセシウムを吸着して いることは確かなようです。しかし、それ以外の魚類と海藻類は、海水中のセシウム濃度が低下した状態では、急速に吸着量を減らしています。ただし、調査結 果を吟味し、ある程度以上のセシウム濃度を示した場合について、その経緯を説明することを試みるべきだと考えます。また海藻類の調査が非常に限られていた ことには注意する必要があります。具体的に伺いたい質問は

(1)海水中のセシウム濃度がある程度(1Bq/L以上)高い場合に、魚類と海藻類では吸着の仕方あるいは食物連鎖に占める位置によって濃度に違いが出ると思われます。調査結果とつき合わせて、海域による差や魚種による違いについて、適切な説明がつけられるでしょうか。
(2)海底堆積物へのセシウム蓄積によって、底魚に高濃度が現れていますが、どのようなプロセスが重要でしょうか。例えば魚のえさになる生物の役割についてはどうですか。